| 調査研究名 |
●ベイエリアにおける土壌汚染に関する基礎調査 概要
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企業や行政は、健康被害の要因や経済活性化の阻害要因として土壌汚染について苦慮しており、その対策が急がれる状況にある。そこで、土壌汚染対策に資することを目的に土壌汚染の事例、土壌汚染対策法の概要、海外の状況等、「ベイエリアにおける土壌汚染に関する基礎調査」を行なった。
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1.土壌汚染の歴史
土壌汚染とは、人の活動に伴なって排出された有害な物質が土(地下水や地中の空気も含む)に蓄積されている状態をいう。
土壌汚染の歴史は日本では、明治時代からの鉱山開発による農用地の土壌汚染に始まり、市街地での工場操業に伴なう土壌汚染、近年の工場跡地や市街地等での土壌汚染へと続いている(図表1)。
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2.土壌汚染対策法の概要
平成15年に施行された土壌汚染対策法(以下、土対法という)は、①土地所有者等に調査・措置義務を課している、②過去の汚染も対象となる、③健康保護に必要な限度で措置を義務づけている、④規制対象となる汚染地が限られている、⑤汚染地であることが公開される、等が特徴である。
土対法の他に、自治体の条例にも留意が必要である。2府5県4政令指定都市(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・徳島県・京都市・大阪市・堺市・神戸市)において、土壌汚染に関して定められている条例、要綱は次のとおりである。
・京都府環境を守り育てる条例
・大阪府生活環境の保全等に関する条例
・環境の保全と創造に関する条例(兵庫県)
・産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例(兵庫県)
・淡路地域における残土の埋立事業の適正化に関する要綱(兵庫県)
・奈良県生活環境保全条例
・和歌山県公害防止条例
・徳島県生活環境保全条例
これらの条例等の多くは土砂埋立て規制、有害物質の地下浸透規制を定めている。また、大阪府の条例は汚染区域の登録・公表や対策・費用負担義務について定めている。
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3.最近の土壌汚染とその対策の実態
近年、土壌汚染の苦情件数の増加とともに土壌汚染調査・対策の件数・費用は増加している。なかでも、土対法によって義務づけられたことを契機とするもの(法契機)よりも、条例や要綱に基づく(法契機以外の)調査・対策や自主的な調査・対策の増加が著しい(図表2)。
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土対法上は人が有害物質にさらされないように浄化措置を行なえばよいが、実際の土地取引では、使用が明らかでない有害物質についても汚染がないことを証明する調査を行ない、汚染が判明した場合には浄化まで行なわれることが多い。
土対法が定める以外の汚染には、ダイオキシン類による汚染(ダイオキシン類対策特別措置法で対応)、油による汚染(規制はなく、環境省から油汚染対策ガイドラインが示されている)、自然的原因による汚染がある。
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4.国内の土壌汚染問題の現状
各省庁の土壌汚染問題への取り組みは目的の違いから必ずしも統一されていないが、汚染リスクを何らかの形で反映させる認識は急速に広がっている(図表3)。
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不動産業界では、具体的に紛争事例も出てきており、早くから土壌汚染に関するガイドライン等に基づき対応をしている他、土対法の施行に伴ない、宅建業法第35条に基づく重要事項説明の対象に土対法第9条第1項から第3項までが追加された。
不動産鑑定業界では、平成15年1月から新しい評価基準が施行された。不動産鑑定評価における「土壌汚染」とは、個別的要因の一つとして、価格形成に大きな影響がある有害物質が地表又は地中に存することをいい、自然的原因によるものや油による汚染等も含み、法令等による調査等の義務がないことのみをもって、「土壌汚染がない」ということはできない。
金融業界では、土壌汚染による担保価値の下落リスクを回避するため、貸付審査時点で土壌汚染に関する調査を行ない、汚染リスクを考慮した担保価値を把握しようと努めている。また、土壌汚染対策ファンドによる汚染地の買取と再生に取り組んでいる金融機関もある。
保険業界では、土壌汚染リスクに対応して、オンサイト型の費用保険、コストキャップ保険、土壌汚染保険等、様々な商品が発売されている。
土壌汚染と企業を取り巻く環境をみると土壌汚染問題は企業が直面する新たな環境リスクとして、対応が重要となっている。 |
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5.諸外国における土壌汚染対策制度
土壌汚染地の把握や調査は、原則として行政が行なうものとされている国が多く、土地所有者等が調査を行なう日本の土壌汚染対策法とは大きな相違が見られる。 |