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特集 神戸のウォーターフロントにおける景観形成の取り組み


平成16年12月に景観法が施行されて以降、地方公共団体においては、景観法に基づく景観計画が整備・策定され地域を指定し、計画的に景観誘導を図っている。今号では、神戸市の中心部にあるウォーターフロント地域(約240ha)を都市景観形成地域と指定し、大阪湾ベイエリアにおける景観に配慮した整備を進める神戸市の取り組みを紹介する。

取材協力・資料提供:神戸市都市計画総局計画部景観室


都心ウォーターフロント都市景観形成地域の指定
 

 神戸の都心エリアは、六甲山と港に挟まれた坂の街として、変化に富んだ眺望やまちなみが個性的な都市景観を形成している。その中でも特に、ハーバーランド、メリケンパークからHAT神戸及びポートアイランドを含む都心ウォーターフロントは、美しい港、緑豊かな六甲山という恵まれた自然を背景に、明るく開放的な海に面して、港の営みを実感できる場所となっている。
  神戸港は、明治元年の開港以来、日本を代表する国際貿易港としての産業活動や神戸市民の経済基盤、生活基盤として重要な役割を担ってきた。しかし、近年の産業構造の変化により、倉庫・物流機能を中心とする土地利用から都市機能的な土地利用への転換が進み、ポートアイランド西でのコンテナバース跡地への3大学の進出と公園の整備、また新港第1突堤での再整備計画の予定など、かつての港の風景は大きく変わってきている。
  また、旧居留地や三宮・元町などの都心部では、地元のまちづくり団体が活発に景観まちづくりに取り組まれているが、みなとと都心部が近接しているという都市の特性をさらに効果的に活用していくために、都心全体として連携のとれたまちづくりが期待されている。
  このような状況を背景として、都市景観審議会での審議を踏まえて、「みなと神戸」の顔である都心ウォーターフロントを6つの地域に区分して、平成19年8月に都市景観形成地域に指定した。

都心ウォーターフロント都市景観形成地域の指定
 
都市景観形成地域に係る景観形成方針および景観形成基準
 
 神戸市では、景観をまもり、そだて、つくる観点から、昭和53年に全国に先駆けて「神戸市都市景観条例」を制定し、神戸らしい景観を形作っている地域、あるいは計画的に形作っていくべき地域を「都市景観形成地域」として指定し、同地域内での建築行為などに「届出」を義務づけたうえで、景観形成方針及び基準に従い「指導、助言」を行うというゆるやかな規制によって景観誘導を図ってきた。
  今回指定した都心ウォーターフロント景観の創出にあたっては、①神戸らしい、②まちと港をつなぐ、③水際をつなぐ、④市民が日常的に楽しめる、⑤協働のまちづくりで進める、を基本的な考え方としている。
  そして、具体的な景観形成の方針として、①主たる眺望路の形成、②主たる眺望点の形成、③主たるランドマーク、シンボルの形成、④海への誘いの形成、⑤プロムナードの形成、⑥水景域の形成(ひとつの水面とそれを囲む建物について、海や対岸からの見え方に配慮することで、まとまりを体感できる景観を育成する)、⑦夜間景観の形成、を定め、ハーバーランド、HAT神戸、ポートアイランド西についてはこれまでのそれぞれの地域におけるまちづくりの取り組みを踏まえて景観形成の基準を定めている。また、屋外広告物について、屋上広告物は設置しないことを6地域共通の基準として定めている。
  都心ウォーターフロントの景観形成において最も特徴的といえるものは「眺望路」であり、「連続的に眺望対象を望みながら移動できるみち」のことを言う。今回海へ至る主要な道路で特に眺望に配慮すべき空間である17本を主たる眺望路に位置づけ、ゆとりとうるおいのある歩行者空間の整備とあわせて、最大の神戸らしさともいえる海や山への眺望を確保することとしている。
都市景観形成地域に係る景観形成方針および景観形成基準
 
神戸市の今後の取り組みについて
 
 神戸市では平成19年度より、新たな取り組みとして、より広域の範囲を対象とした眺望景観の保全・育成に向けた施策の検討を開始した。
  そこで、眺望景観のあり方について幅広く検討していくにあたり、平成19年8月に「神戸らしい眺望景観」について市民募集を行ったところ、延べ162件の応募があり、都市景観審議会での検討を経て、「神戸らしい眺望景観50選、10選」を選定している。その中には都心ウォーターフロントの景観も多く選定されており、今後これらを広く市民や来訪者に周知すると共に、引き続き眺望景観の形成に関する施策を具体的に検討し、「デザイン都市・神戸」の魅力アップに取り組んでいく、
としている。
眺望路イメージ図
 
おわりに
 
大阪湾ベイエリアの景観形成の方向性として、グランドデザインの中では、大阪湾ベイエリアの自然環境を生かしつつ、国際玄関口としてふさわしい景観形成、快適な居住空間を形成するための良好な景観形成、広域的・一体的な景観形成を図って行くこととしている。具体策としては、①大阪湾全体の景観形成の在り方を示すガイドラインの策定②自然環境と建造物の調和、ランドマークの保全・整備、魅力あるビューポイントの創出など、海・空・陸から見た美しいウォーターフロントの形成に配慮した整備を図ること③ビューポイントの創出④「なぎさ海道」プランによる景観形成の促進などが挙げられている。
  本特集で紹介した神戸市の都心ウォーターフロントでの景観形成地域の指定などについては、上記に則した整備が進められており、今後は、「なぎさ海道」などのツールを更に活用し、大阪湾ベイエリア全体の景観形成の取り組みが推進され、一体感を持った中にも、各地域の個性が感じられるような景観に配慮した魅力ある地域になることが期待される。
大阪湾ベイエリア全体の景観

(2008年夏号)

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