経緯 |
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平成13年6月、都市再生プロジェクト第一次決定において、「大阪圏においても基幹的広域防災拠点の必要性も含め、広域防災拠点の適正配置を検討する」と決定された事を受けて、内閣府と近畿地方整備局が事務局となり、有識者、関係省庁、関係府県市による検討委員会が設置された。検討委員会により、平成15年6月、「京阪神都市圏広域防災拠点整備基本
構想」が策定された。(対象地域:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、京都市、大阪市、神戸市の2府4県3政令市)基本構想にもとづき、整備や運用を具体的に検討していく場である「京阪神都市圏広域防災拠点整備協議会」において、平成19年7月(第3回協議会)、京阪神都市圏内で大阪地区として基幹的広域防災拠点(高次支援機能)を早急に整備するエリアとして堺2区が位置づけられた。臨海部としては、堺2区以外にも、泉大津フェニックス等の候補地もあったが、選ばれた理由としては、まとまったスペースがあること、空港
(関西国際・八尾等)との距離、高速道路のランプとの距離などが決め手となったようだ。 |
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※「堺2区」以外は候補地であり決定されたものではない |
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堺2区の整備概要 |
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堺2区では、平成20年度~平成22年度の期間に、基幹的広域防災拠点としての高次支援 機能を担う緑地(27.9ha)、港湾広域防災拠点支援施設(1棟)およびアクセス道路として近接
する耐震強化岸壁などとを結ぶ臨港道路Ⅱ(延長約1.9km)の整備が計画されている。
すでに、着工している臨港道路Ⅰ(延長約1.6km)と耐震強化岸壁(水深7.5m、延長130m)も整備が順調に進められている。
臨港道路Ⅰは平面部621m、盛土擁壁部499.7m、高架橋部473mで構成される。堺泉北港堺2区において、取扱貨物の増大などに対応し、物流の安定化・効率化を目指すとともに、大規模地震発生時等の海上からの輸送ルートを確保する重要な役割が期待されている。
(図:堺浜の開発状況参照) |
図:堺浜の開発状況(堺市の資料をもとに作成) |
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海・陸・空からの利用が可能な防災拠点 |
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堺2区の基幹的広域防災拠点の高次支援機能としての役割は、
①海上輸送基地(耐震強化岸壁と一体的運用)
②陸上輸送基地(高速道路に近接)
③航空輸送基地(臨時ヘリポート整備7~9待機可能)
であることがあげられる。
災害時には、下記の機能を持ち災害対応が可能となる。
①救援物資の中継・分配機能
被災地域外から被災地域内への救援物資の中継輸送、集積、荷さばき、分配などを行う、各種交通基盤のネットワークと連携した救援物資の中継・分配機能
②広域支援部隊の集結・ベースキャンプ機能
全国から集結する広域支援部隊(警察、消防等)や救護班、国内外からのNPO・ボランティアなどの活動要員の集結、連絡等を行うことができるベースキャンプ機能
③応急復旧用資機材の備蓄機能
広域防災拠点が万一被災した場合に緊急的に応急復旧が可能となる応急復旧用資機材などの備蓄機能
④海上輸送支援機能
海上を利用した緊急物資や人員の搬入・搬出を行うことができる耐震強化岸壁及び浮体式防災基地を活用した救援物資等の海上輸送支援機能
⑤災害医療支援機能
災害時医療の支援機能、搬送用ヘリコプターの確保・運用などの機能 |
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ベイエリアの更なる活性化に向けて |
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堺臨海部は、シャープ等の立地が進み、関西経済の発展を担う活気あふれるエリアとして期待されているが、この基幹的広域防災拠点整備事業により、災害時における臨海部の安全性、信頼度が向上することにより、経済活動にも大いに寄与することと思われる。
また、平常時には、整備中の人工干潟などとも共存し、海を眺めながら、自然とふれあえる場、地域住民が憩える場として利用することができる。今後、隣接するシャープ等の企業とのさまざまな連携が期待されている。
大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザインでは整備方策のひとつとして、災害に強い街づくりが提案されており、その中で防災対策の推進も位置づけられている。
堺臨海部に基幹的広域防災拠点が整備されることは、大阪湾ベイエリア地域が産業だけではなく、海・陸・空の結節点としての利用の観点で再認識されたことになる。今後、司令塔の適正配置、運用面での連携など、更なる関係省庁と自治体との広域連携のもと、切迫する広域災害に対して一刻も早い整備が望まれる。
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(2008年春号) |
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