| 背景 |
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大阪府内の廃棄物処理の課題として、大量の廃棄物が排出されることと全国レベルに比べ低いリサイクル率が挙げられる。一般廃棄物排出量もここ数年は横ばいであり、リサイクル率は増加傾向にあるものの全国平均より低水準である。また産業廃棄物も、排出量は減少しているものの、リサイクル率は全国平均より低いレベルに留まっている。 また、不法投棄や野外焼却などの不適正処理は平成15年度をピークに減少傾向にあるものの、悪質・巧妙化している。さらに、堺第7-3区など廃棄物最終処分場跡地の有効活用や、廃棄物処理時の未利用エネルギーの利用、環境関連産業の振興も求められている。 |
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| 経緯 |
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これらの諸課題の解決を目指し、平成15年3月に「大阪エコエリア構想」が策定された。この構想は「リサイクル施設の整備構想」と「自然とふれあう場の整備構想」のふたつから構成される。リサイクル施設の整備では、構想の策定にあたって民間リサイクル事業を公募したところ、約100の事業提案がもたらされた。
これらのうち、事業実施に向けた具体的な取組みが進められている7事業計画を「先導的に整備すべきリサイクル施設」として、平成17年7月に「大阪府エコタウンプラン」に位置付け、環境省・経済産業省から承認を得た。このプランは豊かな環境都市大阪を創造することを目指し、京阪神圏域における広域連携のもと、大阪エコエリア構想の具体化を促すとともに、大阪産業の再生に資するための環境関連産業の育成の観点にも配慮しながら、府域における廃棄物処理、リサイクル施設の整備をはじめとした各種事業を推進するにあたっての具体的な方針を示したものである。 |
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| プランの推進 |
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「大阪府エコタウンプラン」を推進するために、関係自治体(大阪府・大阪市・堺市・寝屋川市)とエコタウンに位置付けられた7事業者で協議会を設置し、エコタウンに関する情報発信や、資源循環を担う各主体との交流・連携の促進などに、協働での取り組みを進めている。
エコタウンプランに位置付けされた先導的な7つのリサイクル施設のうち、堺第7-3区に立地するのは、次のとおりである。 |
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<堺第7-3区に立地した5つのリサイクル施設>
① 亜臨界水反応による廃棄物再資源化事業
亜臨界水反応を利用し、有機塩素系廃溶剤等を脱塩素化し、アルコール、有機酸、塩化ナトリウム、低級燃料油などを製造するほか、製造したメタノールと動植物性油脂製造時に発生する精製残渣等から、バイオディーゼル燃料を製造する。
② 混合廃棄物リサイクリングアソートセンター事業
建設・解体系や工場系の混合廃棄物を受け入れ、ヤード選別、手選別、破砕、機械選別、圧縮・梱包、成形等の工程を経て、リサイクル燃料・原料を製造し、大阪府エコタウンプランに位置付けられた他のリサイクル施設等に供給している。
③ 食品系・木質系廃棄物総合リサイクル事業
食品系・木質系バイオマスを炭化・液化・分留することにより、廃棄バイオマスを再資源化し、バイオマスエネルギー利用や農畜産業を中心とした利活用を促進し、新たな高付加価値バイオマスの生産を行い、食品リサイクルに資する事業である。
④ 食品残渣の飼肥料化・廃プラ等の原燃料化事業
外食産業、スーパー等から排出される食品廃棄物を高速発酵処理し、飼料、肥料、土壌改良材等を製造するとともに、弁当箱や食品梱包材等の廃プラスチックを破砕、圧縮・固化、圧縮・梱包し、原料・固形燃料等の製造を行なう。
⑤ 廃木材等によるバイオマスエタノール製造事業
都市にストックされた森林資源といわれる建設廃木材を主原料に、バイオマスエタノールを製造し、ガソリンへ添加し、燃料エタノール市場を開拓することにより、石油資源及び二酸化炭素の削減に寄与する事業である。
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| 堺第7-3区での新たな取組み |
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「大阪エコエリア構想」のもう一つの柱である「自然とふれあう場の整備構想」については、堺第7-3区の一部(約100ha)において、府民、NPO、企業など多様な主体との協働により、自然の力を活かしながら長い時間をかけて、森林・ビオトープ空間などの自然環境を創出再生する取り組みが進められている。
平成16年度から、ワークショップが開催され、毎月1回、さまざまな活動が展開され、毎年2月には苗木約2,000本の植樹も実施されている。
また、国土交通省の港湾整備に係る補助事業として、防風・防潮林の整備も同時に進められている。
さらに、平成18年度には、大阪臨海部に立地する企業等から構成される「堺第7-3区共生の森 企業による森づくり連絡調整会」が設立され、現在14社が、森づくり活動に取り組んでいる。
一方フィールド事業として、NPOと共同で廃棄物リサイクル・地球温暖化対策に資する新技術の実証実験も行われ、この実証展開を環境教育のツールとして活用している。
平成18年度に、NPOを対象とした実証研究提案を公募し、「廃食用油利用バイオディーゼル燃料製造の実証研究(NPO法人ASUの会)」と「未利用バイオマスを利活用した循環環境共生型農業生産システムの実証研究(NPO法人エコデザインネットワーク)」が、実験を行っている。
また、「大阪府エコタウンプラン」に位置付けたリサイクル施設も含め、臨海部を中心に立地している先進的な技術やシステムを有するリサイクル関連施設等、府内のシーズを活用し、アジア諸都市への技術サポートも進められている。
今年度(平成19年度)は、中国・江蘇省及びベトナム・ハノイ市における3R(リデュース、リユース、リサイクル)技術セミナーや、海外からの研修生に対する3R技術研修が開催される予定である。 |
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| おわりに |
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国の都市再生プロジェクトとして大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築が決定されたことを受けて、関西においても、地方公共団体と国からなる「京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会」が平成14年に設置された。これは、関係対象地域が広域的な役割分担の下で相互に連携、協力し、国の施策との連携を図りながら、廃棄物処理、リサイクル対策を推進する上での共通の取り組みを進めるため設置されたものであり、廃棄物減量化目標を設定し、その達成のため、廃棄物処理、リサイクル施設の整備や静脈物流システムの構築などに取り組むこととしている。
大阪湾ベイエリアの動きとしては、大阪府のほかに、兵庫県が「ひょうごエコタウン構想」(平成15年4月策定)に基づき、姫路市に廃タイヤガス化リサイクル施設、廃車スクラップ等の高度リサイクル施設などや、尼崎市にパソコン等OA機器リユース・リサイクル施設が稼動している。神戸市においても「エコテック21構想」に基づき、ポートアイランドに自動車関連のリサイクル施設が立地している。
環境調和型経済社会形成のために、さらなる連携が必要であり、国と地方が協働し、官民が協力して広域的にかつ総合的に廃棄物処理、リサイクル施設の整備が推進されることが、強く求められている。 |
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取材協力:大阪府環境農林水産部 |
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(2007年夏号) |
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