一般財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構
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広報誌『O-BAY』
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特集 大阪港の長期計画(港湾計画の改訂)について


大阪湾各港において、物流の動きが活発となってきている。平成16年7月には、国際物流機能の効率化を促すため、阪神港がスーパー中枢港湾に指定されているが、大阪港においては、平成18年12月に長期的な観点から、港湾計画の見直しがなされた。その概要を、大阪市港湾局にお聞きし今後の大阪港の課題について整理した。



背景


  東アジア地域においては、中国をはじめとする各国が港湾の整備を急速に進めていることにより、我が国における港湾機能の地位が相対的に低下している。その中で大阪港は、大阪都市圏の経済活動や安定した市民生活を支える都市型港湾として、より一層の国際競争力の強化が求められている。
  また、経済の活性化に歩調をあわせるかのように、高度なロジスティクス機能を備えた拠点の形成をはじめとする総合的な物流の効率化を求め、物流施設の建設整備が着々と推進されている。今後、より一層大阪都市圏の経済を先導する産業育成の場としての機能を高めていく必要がある。
  さらに、フェリーの大型化や効率化を追求したRORO船(※)貨物の増大に対応し、内貿(国内貿易)埠頭機能の強化も必要となってきている。
  経済や文化等の機能が集積する都心に近い大阪港は、今後も人流・物流の結節点としての役割を果たしつつ、人々の憩いの場として貴重な水辺を快適で魅力ある地域として更に発展させるとともに、地域の特性を活かした再開発や民間開発の促進により、臨海地域を活性化していくことが、喫緊の課題となっている。

※貨物を積んだ車両が直接船内に乗り入れ、乗り出ることができるように、船尾や船側にゲートを有する船舶

港湾計画改訂の基本方針

  これらの要請に応えるため、大阪港では目標年次を平成20年代後半に設定し、以下に示す4つの基本方針の下で港湾計画の改訂が進められた。
4つの基本方針


  大阪港を取り巻く状況が大きく変化する中で、大阪都市圏の経済活動や安定した市民生活を支える都市型港湾として、物流・交流・環境・安全の4つの機能が調和した魅力ある港づくりを推進することとされている。
  特に、港湾経営の視点に基づいた既存ストックの活用や埠頭再編による港湾機能の強化、あるいは規制緩和による臨海地域の活性化施策などが特徴として打ち出されている。
  そこで、「埠頭の再編」、「土地利用計画」、及び「臨港地区の見直し」について、その主な内容を以下に紹介することにする。

港湾計画改訂の主な内容

1 埠頭の再編(図1)


<より一層の国際競争力の強化>
・外貿(外国貿易)貨物において、今後とも増加が見込まれるコンテナ貨物に対応するとともに、より一層の国際競争力の強化を図るため、南港地区(C1~4、C8、9)及び夢洲地区(C10~12、YC)に、外貿コンテナ埠頭の集約を図る。(C10~12はスーパー中枢港湾対象埠頭である)
・夢洲コンテナ埠頭の背後地には、従来の保管、配送機能に加え、検品、流通加工などの機能を有する高度な物流施設の集積を図るとともに、陸・海・空の最適な輸送モードが自由に選択できる総合物流拠点の形成を図る。

<既存埠頭の利用転換や再編・集約>
・内航フェリーの大型化や利用者の利便性向上のため、公共コンテナ埠頭として用いられている南港R岸壁を、大型フェリーの受け入れが可能な内貿フェリー埠頭に転換するとともに、南港フェリー埠頭(F1~6)は6バースから3バースへ再編する。
・南港かもめ埠頭(F7、8)については、今後貨物の増加が見込まれるRORO船に対応する埠頭として、利用転換を図る。

<既存施設の廃止、計画の見直し>
・港地区(第2号岸壁、第6号岸壁、安治川第3号岸壁)や南港地区(I岸壁)における利用水準の低い岸壁については、今後の港湾活動の状況を見極めながら、廃止に向けた検討を進める。
・夢洲地区と此花地区の内貿埠頭計画については、現段階では確実な需要を見込める状況にないため、既定計画を削除する。
H18.2.13撮影
2 土地利用計画(図2)

  前述の港湾施設等の計画に対応するとともに、多様な機能が調和し、連携する港湾空間を形成するため、各地区の土地利用計画を以下のとおり定める。

・夢洲地区:夢洲の東側において、コンテナ埠頭の充実を図るとともに、それと一体となった物流産業拠点を形成するため、道路の追加・変更を行う。
・舞洲地区:プレジャーボートの将来推計を見直し、既定のマリーナ計画を削除するとともに、関連するレクリエーション施設用地を緑地に変更する。
・此花地区:梅町地区の埋立を伴う内貿埠頭計画を削除し、現状の土地利用に戻す。
・港地区:安治川内港地区(弁天)の埋立を伴う再開発計画を見直す。
・河川区:安治川、木津川左岸の上流部については、都市的な利用への転換を図るため、港湾関連用地を都市機能用地に変更する。
・新島地区:当面の間、廃棄物等の海面処分場として活用する(海面処分・活用用地)。


3 臨港地区の見直し(図2)

  河川筋上流や在来臨海部等、港湾機能の低下した臨海地域については、これまでのような公共主導ではなく、民間主導により、再開発や土地利用転換を推し進めていく必要がある。そのため、港湾活動が低下し、将来的な管理・規制の必要性が乏しくなったエリアについては、規制緩和を前提とした幅広い検討を可能とすることが重要であるとしている。
  このような考えのもと、港湾管理者として港湾の管理運営を円滑に行うために、今後必要と考えられる臨港地区の範囲を、図2に示している。
  こうした港湾管理者の意向が示されることにより、民間主導による土地利用転換を促進するきっかけとなり、ひいては臨海部全体の活性化に資することを期待するものである。
  なお、実際は、関係者との協議・調整が整った後、都市計画変更の手続きを経て、臨港地区の範囲が変更されることになる。
図1
図2

おわりに


  今回の港湾計画においては、増加一辺倒の貨物量への対応が前提となっていたこれまでの港湾計画のアプローチから、港湾経営の視点を取り入れ、将来貨物量の減少もあり得るという前提の下で検討を進められたことが、大きな相違となっている。
  財政難により、将来的に大規模なハード整備が見込まれない中、既存ストックを効率的に活用し、運営面も強く意識した経営的な視点に基づいた計画策定における検討は、今後も一層重要になると考えられる。
  今回の港湾計画は、主としてスーパー中枢港湾対象埠頭の整備に端を発した、大阪港全体の埠頭再編というイメージのものである。
  同時に、従来から言われている臨海部と都心部との近接化については、在来臨海部の整備が避けて通れないことから、安治川、木津川沿いの一部区域で都市的利用を図るべく、臨港地区の解除の方向性が示された。
  これは、水都大阪のアイデンティティを際立てるに際し、在来臨海部の川沿いの整備として防災の観点、親水性・景観の観点、そして、交流の観点等からの整備を進めたいという意思を読み取ることができ、民間投資の誘導策を含めて、今後良いサイクルとなって展開されることが期待される。

取材協力 : 大阪市港湾局


(2007年春号)


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