一般財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構
spacer
イベント ベイ機構について なぎさ海道推進事業 広報誌O-BAY リンク集
ベイエリア開発整備 開発整備への提言 研究調査 ベイエリアの基礎調査 自治体不動産情報
広報誌『O-BAY』
spacer
海で健康に、なろう!
PFIで生まれた余熱利用の健康施設「タラソ福岡」
 
  Interview   今 誠さん〈株式会社タラソ福岡総支配人〉
長屋 慎一郎さん〈株式会社タラソ福岡館長〉
タラソ福岡
◆株式会社タラソ福岡
  代表取締役: 清見祐司
  設立年月日: 平成12年12月21日
  所在地: 福岡県福岡市東区箱崎7-10-58
  資本金: 1億7,500万円
  主要株主: 大木建設株式会社
株式会社ヴィ・ピー・ピーエンタープライズ
株式会社日立建設設計
沖電気工事株式会社
(現・沖ウィンテック株式会社)
株式会社日立空調システム
医療法人貝塚病院

 


 タラソテラピーと聞くと、エステティック・サロンの海藻や海泥のパックを連想する人が多いだろう。しかし、発祥の地ヨーロッパでは、タラソテラピーは健康増進や病気の予防、リハビリなどを目的に行われており、美容はその効果の一部分に過ぎない。
  今年4月、福岡市東区箱崎にオープンした「タラソ福岡」は、日本ではまだ数少ない、健康増進を目的としたタラソテラピー施設だ。
海のチカラが元気を呼び覚ます
タラソ福岡の施設概要 近年、水中歩行や水中エアロビクスといった、水中運動が人気だ。浮力、水圧、粘性抵抗など、水の持つ特性が、関節などへの負担や衝撃をやわらげ、同時に適度な負荷となるので、安全で効果的な運動法と言われている。
  タラソ福岡の総支配人を務める今誠氏によると、海水を使うタラソテラピーでは、水中運動の効果がさらに高まるという。
  「水中歩行をしていると、腕が自然に浮いてきます。浮かしておいた方が楽ですが、運動量を上げるために、腕を水に沈めて前後にふって歩いてもらいます。海水は浮力が大きいですから、淡水の場合より頑張って身体を沈めなければいけません。また、海水はミネラルを豊富に含む分、粘性が高く、抵抗も大きい。つまり、海水の方が、運動量が大きくなるのです。水中歩行だけで、ずいぶん体力を使うので、みなさん、初めは驚かれますよ」
だれでも気軽に楽しく運動
 タラソ福岡は地下鉄貝塚駅から徒歩5分、国道3号沿いに立地している。木とガラスと白い壁の明るい施設で、もっとも大きな面積(450m2)を占めるプールを満たすのは、33度~36.5度に温められた玄界灘の海水約500トン。
  「不感温度帯と言って、長く入っていても身体が冷えないのです。普通の温水プールは30度くらいに設定されていて、ゆっくり水中歩行をしていると、30分ほどで、寒くて大変なことになります。ここは、水泳のためのプールではなく、海水の特性を生かした水中運動のためのプールですから、それを効果的に行えるよう、さまざまな工夫を施しています」
  タラソジェットプールには、13種類約200個のジェットノズルが設置され、首筋から足裏までマッサージすることができる。凝り固まった筋肉をほぐすと、同じ水中歩行でも運動量が多くなると言う。1~13まで番号がつけられた各種ジェットを、順にたどるとプールを2周するように配置されており、平均で45分くらいかかる。最初に入るところは水温が33度。途中でそれが36.5度になったり、屋外に出たりすることで、自然に血行や新陳代謝が促進される仕掛けだ。
  水中運動用には、アクティブなプログラムを行う33度のプールと、ゆったりとした運動に使う36.5度のプールの2つが用意されている。
  タラソテラピー個別プログラム室「アンジェ」では、カウンセリングを受けて、適切なプログラムを組んでもらったり、海藻・海泥のパックや、トリートメントなども体験できる。
  また、プール以外にも、ジム・スタジオ、屋外ウォーキングゾーン、スポーツサウナなどがあり、利用者が、それぞれの目的や体力、気分によって、使い分けられる施設となっている。
公共サービスを民間の手で
タラソ福岡 タラソ福岡が注目を集める理由がもうひとつある。それは、この施設がPFI手法、加えて、BOTと呼ばれる方式で整備されたことだ。PFIのBOT方式とは、公共的施設の設計から運営まで、資金調達も含めて民間事業者が担い、一定期間後、施設を行政に譲渡するというもの。
  行政が整備した公共施設の運営を民間に委託することは、一般によく行われている。しかし、出来上がった施設が、運営者にとって使いやすいとは限らない。使いやすい施設をつくるためには、運営者が計画段階から関与すべきだ。タラソテラピーのような、行政にとって経験のないサービスを提供しようというときは、なおさらだろう。
  PFI手法は、行政の財政負担を軽減するだけでなく、民間のノウハウを生かした施設とサービスを実現することを目指すシステムで、福岡市は、その特徴をうまく利用したと言える。
  タラソ福岡は、福岡市のごみ焼却施設(平成13年操業開始)の余熱利用施設として計画されたもので、余熱でつくられた電気が無償提供され、土地も市からの無償貸与。タラソ福岡が市のかわりに公共サービス(施設の維持管理や、安価でのサービス)を提供する対価として、一定のサービス提供料が市から支払われる。事業者側は、市が提示する、このような条件の下で、採算のとれる施設づくりと、運営を目指すわけだ。
  タラソ福岡で、料金に関して市が指定したのは、「ビジターのプール利用を2時間で800円以下」という条件だけ。その他の料金は、運営者にお任せで、状況によって変更することも可能だ。「アンジェ」が提供する、個別のタラソテラピー・プログラムは、プールにくらべれば料金が高いが、それでも一般的な料金と比較すると半額以下でサービス提供されている。長崎から通ってくる熱心なファンもいるという。ここが純粋な公共施設であれば、このようなサービスは実現しなかったのではないだろうか。
  朝9時半から深夜零時半までという営業時間の設定にも、この施設の特徴が現れている。
  「実際に、終了時間まで利用される方は少ないですが、利用者に対して大きなアピール点になっていますし、今後、遅い時間帯の利用が増えることを期待しています。ただしこれは、電気が無償で提供されているからできることなんです。電気代がかかると、時間帯当たりのコストがまったく違ってきますからね」
  余熱利用施設という公共性と、民間企業らしい経営判断で、深夜までの営業が実現したわけだ。
成長途上のPFI手法
 今氏は、茨城県下館市に本拠地を置く株式会社ヴィ・ピー・ピーエンタープライズ取締役と、タラソ福岡総支配人を兼務している。同社はスポーツクラブでのタラソテラピー・プログラムの実績があり、このPFI事業に取り組もうと考えた大木建設(本社:東京都千代田区)からの要請で、(株)タラソ福岡の設立に参加。今氏はこの施設の計画段階からずっと関わってきたという。
  「福岡市にとって初めてのPFI事業ですが、我々も、さらには融資する側も、関係者すべてが初挑戦で、苦労はたくさんありました。まず、事業が公示されてから、提案までの時間が短かかった。慣れないための試行錯誤もありましたので、次の機会には、もう少し余裕をもって取り組めると思います。
  それと、運営計画も含めて審査対象になるわけで、構想段階で建築整備から運営までのコストを想定して、計画をたてざるをえませんでした。実際には、想定よりコストがかかっています。法律の施行も同時期だったので、弁護士をお願いしたり。まさか弁護士費用がこれほどかかるなんて、考えもしませんでしたから(笑)。そうすると、提案時に提出した運営計画と実際の運営とが違ってきます。民間の事業なら計画の変更は当然の話ですが、ここの場合、市との間で書類が交わされているので、簡単にはいきません」
  しかし、それでも、タラソ福岡に取り組んでよかったと、今氏は言う。そして、PFI手法については、今氏も、館長の長屋慎一郎氏(大木建設より出向)も評価しているが、成熟していないがゆえの課題があるという。
  「民間がやった方がいい公共事業というのは確かにありますし、我々にとってもチャンスが増えますので、よいシステムだと思っています。ただ、まだ過渡期なので、官民双方の意識のレベルアップが必要ですね。PFIというのは、官がお金を払わなくていい手法だと勘違いしているケースもありますから」(長屋氏)
  「公募の条件規定書が、担当したコンサルティング会社によって、民間寄りだったり、行政寄りだったりすることもあるようです。PFIの質をあげるためには、条件規定書もレベルアップする必要がありますね」(今氏)
  大阪湾ベイエリア地域で、今後、PFI手法によるタラソテラピー施設の計画が持ち上がったら、とたずねると、「興味あります」と今氏も長屋氏も口をそろえる。
  「タラソテラピーは、一時的なブームだと思っている人もいるでしょう。しかし、ヨーロッパでは、長期保養型でリゾートを兼ねた療法として普及しています。海辺で陽光を浴び、潮風を吸い込むことも、療法の一部なのです。日本の湯治と同じ感覚です。今、温泉は、昔ながらの湯治、豪華温泉旅館、日帰り温泉、スーパー銭湯と多様化しています。同じように、タラソテラピーもさまざまな形で登場すると思いますよ。それに、海と海水の持つ魅力は、普遍的なものでしょう。生物は海で進化してきたんですからね」
  大阪湾ベイエリアには多様な環境の海辺がある。そこで、さまざまな形のタラソテラピーが体験できるようになる日が来るのが、待ち遠しい。

■タラソ福岡のホームページ
   http://www.thalasso-fukuoka.co.jp/
   
■PFI(Private Finance Initiative)
   民間セクターの資金調達能力、技術的能力、経営能力などを活用し、公共政策を実施する手法。
   公共施設等の建設、維持管理、運営等をより包括的に民間に委ね、一般的に10年以上となる長期契約において発生するリスクを官民で適切に分担し、良質で低廉な公共サービスの提供を実現する官民の新たなパートナーシップの構築を前提とした手法である。
   
■PFIの意義
   市場機能の有効活用、評価制度の導入等により行政運営の効率化・活性化を図るNPM(New Public Management)の一翼を担う有力な手段と考えられる。
   
■福岡市初のPFI「タラソ福岡」
   タラソ福岡は、福岡市にとって初のPFI事業で、検討を開始したのは平成10年度。PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律:平成11年7月成立、9月施行)より先行していたため、法制定の行方をにらみながら手探りの取り組みだったと言う。
   
■PFIを推進する福岡市
   市は平成13年7月に「福岡市PFIガイドライン」を策定、さらに市が予定している公共事業で、PFI導入を具体的に検討しはじめたもの、導入の可能性があるもののリストの公表を始めた(前者がショートリスト、後者がロングリストと呼ばれる)。公募時に始めて事業内容を公表するのではなく、事前に民間事業者に知らせ、時間をかけて準備してもらうのが目的だ。また、ロングリストは、民間からの発案も受け付ける。タラソ福岡の今氏が言う「公示から応募までの時間の短さ」という課題を軽減する取り組みといえる。
   
■タラソ福岡(福岡市臨海工場余熱利用施設)の概要
  タラソ福岡の概要
   ごみ焼却施設の余熱を電気エネルギーとして市民に還元することを目的とする施設。事業コンセプトは「健康・運動・交流」。温海水利用の水中運動プールを中心とした「健康増進ゾーン」と地域交流の促進を目的とした「コミュニティーゾーン」から構成される複合施設として整備。
   PFIを採用し、整備手法は以下のように設定された。
 

①事業方式:BOT方式(Build Operate Transfer)民間事業者は自ら資金を調達して施設の設計・建設を行ない、施設を所有し、利用者からの利用料金と市からのサービス提供料収入によって、市が提示する公共サービスを運営期間中、市民に提供する。運営期間終了後、民間事業者は施設を市に無償で譲渡する。
②運営期間:15年間
③市の支援:市は民間事業者に対し、土地の無償貸与、電力の無償供給の支援を行なうとともに、事業者が市のかわりに公共サービスを提供する対価として一定のサービス提供料を支払う。




ちょっとウンチク 海は生命の母なのだ

ギリシャの海
 ギリシャ語で「海」を示す「タラサ」と、フランス語で「治療」を示す「セラピー」をあわせた「タラソテラピー」という造語が生まれたのは、19世紀の終わりごろのフランス。しかし、ヨーロッパでは、昔から、温海水浴が皮膚病を始め多くの病気の治療に効果があると考えられてきた。紀元前5世紀、ギリシャの歴史家ヘロドトスによる記録も残っているという。
  発祥の地、フランスでなされた定義によると、タラソテラピーは「海水、および海洋の大気、気候がもっているさまざまな特性を利用して行う療法」のこと。汚染のない新鮮な海水を、そのまま温めて使うのが基本。ミネラルを多く含み、真水より浮力の強い海水につかるだけでも健康に良さそうだが、潮風や陽光も療法の一部というわけで、これもまた、気持ち良さそうだ。

潮風呂とみそぎ
 わが国でも、海水が病気に効くことは古くから知られていたが、海水につかるのには「みそぎ」の意味合いが濃かったようだ。温泉に恵まれたわが国では、鉱泉療法(クレノテラピー)の方がポピュラーだったのかもしれない。
  明治以降、各地に海水をつかった公衆浴場がつくられたようで、大阪の天保山に「築港大潮湯」という大規模な施設があったことは、本誌9号「大阪湾開発物語」でも紹介した。堺市には、今も、大正時代からの潮湯が残っている。

期待の新星 深層水
 最近、注目の海洋深層水。水深200mより下の層から採取した水のことだ。海の表面の水は、太陽にあたためられ、風に吹かれて撹拌されるが、その動きも、この深さには届かない。陽光もほとんど通らず、低温で安定し、病原菌が少なく、ミネラルが豊富に含まれる特徴をもつ。
  水深200mというと、ちょうど陸棚の深さ。日本海溝の最も深い場所は8,000mと言われているので深層といってもかなりの幅があり、深さによって水の性質も異なる。「深層水」として利用されているのは、だいたい水深1,000m前後までの水である。
  それをどうやって汲み上げるのか。深層水は、表層水とは別に、地球規模で対流している。その対流が、陸棚の外縁部にあたって湧き上がってくるポイントがあり、200~400mくらいの深さで、取水することができるのだ。このような湧昇地形は、古くから、よい漁場として知られていたという。
  深層水の利用法として、私たちがよく目にするのは、食品や美容、医薬品など。だが、もっとも注目されているのは、魚の養殖やプランクトン、海藻の培養への利用だ。「深層水育ち」の魚や海藻が、野菜の有機栽培のような人気になるかもしれない。

昔ながらの自然塩

 健康ブームの中、自然塩も人気だ。今、食料品店には、ミネラルウォーターと同じように、海外、国内、いろんなところで作られた自然塩が並んでいるし、深層水から作った塩というのも現れた。
  工業的に作られる精製塩は、塩化ナトリウム(NaCl)の固まり。海水を乾燥させて作られる自然塩には、たくさんのミネラルが含まれているため健康によいと言われる。けれど、精製塩が作られるようになったのは戦後のこと。自然塩の人気は、海と健康の関係を再認識するよい機会になりそうだ。


イルカと遊んで
 海と健康の関係の注目株をもうひとつ。海でイルカと遊んで健康になろうというドルフィン・セラピー。タラソテラピーと、動物介在療法(アニマルセラピー)を組み合わせたもので、アトピー性皮膚炎の治療のほか、自閉症児への精神心理的効果が期待されている。医療専門家と動物専門家が協力し、家族も一緒に、時間をかけて進める療法だ。
  オーストラリアやアメリカ西海岸まで行かないと、というイメージがあるが、今、沖縄で体験できる。



そこに生きる人 「製塩文化を伝える」 竹谷 賢さん 
  赤穂市立海洋科学館・塩の国 指導員
 

竹谷賢さん
「指導員になって30数年ぶりに塩を作るようになってから、不思議と元気になってきました」と語る竹谷賢さん。小学校3年生から約10年間塩田作業に携わった経験をいかし、赤穂の製塩文化を伝える貴重な存在の一人。美味しい塩、健康づくりに不可欠な塩を熱く語る。

 

家族総出で塩田作業を

塩の国 昭和30年までは、赤穂城跡近くから海側にかけて塩田が広がっていました。千種川を境に西浜、東浜と呼んでいましたが、私の家族は東浜に住んでいて、父も母も塩田で働いていました。子どもも小学3年生にもなると、学校から帰って手伝う子がほとんどでした。
  この辺りは、入浜式塩田という方法で塩を作っていました。まず、潮の干満の差を利用して塩田に海水を引き入れ、砂の上に海水をまき、毛細管現象を利用して塩分を集め、太陽の熱と風、さらに「万鍬(まぐわ)」という道具を使って砂をかき起こし水分を蒸発させます。そして塩の結晶が十分についた砂をすのこ状の「沼井(ぬい)」に入れ、海水をかけます。そして砂の表面の塩を洗い落としてかん水を作り、それを釜で煮詰めて塩を作ります。
  子どもの仕事は「もんだれ上げ」と呼ぶ、沼井の側面のつぼに集ったかん水を汲み上げる作業でした。また夏場のかきいれどきになると、作業している大人に水を配る役割が加わりました。500m先にある井戸から、10kg程の重さになった手桶をかついで、何度も配って回る、辛い仕事でした。
  学校の紹介で、中学校卒業後、西浜にあった塩田に就職しました。最初は半人前ということで、給料も半分の4,000円ぐらいだったでしょうか。塩田作業者の給料は高かったと思いますが、雨が長期に降らないと、やせて人相が変わるほどの重労働でしたからね。
  入浜式塩田が廃止されたのは昭和30年ころでした。国の方針で、土地面積が必要で人手もかかり効率の悪い入浜式から流下式※に代えられましたが、塩害が出るなどの理由によって、結局、昭和47年で赤穂の塩田はすべて廃止されました。

文化を感じるベイエリアに

塩づくり作業をする竹谷さん 私は、数十年ぶりに海洋科学館で塩を作るようになりました。ここには入浜式、流下式など、みなさんに塩田を体験していただく施設がありますが、流下式の側に行くと、マイナスイオンが出ているようで身体がすっきりします。塩化ナトリウム100%の塩は辛いだけで美味しくありません。ここで作っているような方法ですと、海水に含まれているカリウムやカルシウムなどのミネラルが濃縮されますから、それがうまみを出しますし、身体にもいいわけです。私は元々高血圧だったんですが、ここで働くようになってから血圧が正常になりました。良い塩とマイナスイオン、二つとも塩田からの産物で、このおかげだと思っています。1kg3,000円の高価な塩を買う人もいますが、やはり身体に良い、健康には代えられないからでしょうね。
  今では、実際に塩田で働いた経験者は私たちが最後の世代です。この職場に塩田経験者が何人かいますので、職場を通じて技術と文化は残して行きたいと思います。
  塩田が廃止されてから、西浜の方は工場が立地して昔の面影もなくなってしまいました。東浜は住宅が広がりましたが、海辺は自然のまま残っています。波よけの護岸工事などで海が遠くなっていた地域も、親水性の高い護岸に改修されて海辺の雰囲気が味わえるようになってきました。塩田を含め、赤穂の自然と結びついた文化を感じる海岸の雰囲気を、これからも残してほしいと願っています。

※流下式:表面に粘土を張って緩やかな傾斜をつけた盤の上に海水を流し、太陽熱によって水分を蒸発させる。さらに枝条架で水分を蒸発させ、かん水を作る。

●赤穂市立海洋科学館・塩の国
  http://www2.memenet.or.jp/~acf/marine/index.htm

◆たけたに さとし
1937年生まれ。1952年から2年間、赤穂の塩田で働いた後、石川県播磨重工業勤務などを経て、1998年から海洋科学館で塩づくり指導員をつとめる。


spacer
line
このページの先頭へ
spacer
問い合わせ ENGLISH サイトマップ HOME
spacer
spacer spacerspacer
広報誌『O-BAY』
No.67 2017年春号 No.66 2016年冬号 No.65 2016年秋号 No.64 2016年夏号 No.63 2016年春号 No.62 2015年冬号 No.61 2015年秋号 No.60 2015年夏号 No.59 2015年春号 No.58 2014年冬号 No.57 2014年秋号 No.56 2014年夏号 No.55 2014年春号 No.54 2013年冬号 No.53 2013年秋号 No.52 2013年夏号 No.51 2013年春号 臨時号 No.50 2012年冬号 No.49 2012年秋号 No.48 2012年夏号 No.47 2012年春号 No.46 2011年秋号 No.45 2011年夏号 No.44 2011年春号 No.43 2010年冬号 No.42 2010年夏号 No.41 2010年冬号 No.40 2009年秋号 No.39 2009年春号 No.38 2009年冬号 No.37 2008年秋号 No.36 2008年夏号 No.35 2008年春号 No.34 2008年冬号 No.33 2007年秋号 No.32 2007年夏号 No.31 2007年春号 No.30 2007年冬号 No.29 2006年秋号 No.28 2006年夏号 No.27 2006年春号 No.26 2006年冬号 No.25 2005年秋号 No.24 2005年夏号 バックナンバー
サイトマップ ENGLISH お問合せ 一般財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構トップへ